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菅と危機感とムー第二段

多古光湿原保全会


多古光湿原保全会の観察会および定時総会でした。

いきなり午後の総会時の場面ですが、実は米沢の森よりも危機的な状況にあるのではないかと思ったので、少し取り上げさせていただきます。

まず多古光湿原は、千葉県で最も価値のある場所と声を大にして言える場所です。


その辺りは以前のブログ多古光湿原、やブログ下部にある多古光湿原のタグから過去ブログへ飛べるので、さらっと参照願います。

人手不足であったり、地元からの関心の薄さであったり、色々と課題はありますが、やはり全て私有地であるという部分が最も大きな課題となっています。

千葉県植物研究所の所長であり、このたび理学博士となった谷城先生からは、「公有地となったとして、その後をどう生かすか」という話があり、まさにその通りだと思いました。

アカデミックな世界から植物分野に特化した人をメインに来てもらっては?という提案もありましたが、なんとそっちの世界で現場主義の研究はどんどん衰退の一途を辿っており、室内にこもったDNA解析などの研究しか評価されない状況なんだそう、故に今の学者先生には期待できないと。

パープリンな自分の考えと結びつけちゃうのはナンセンスだと思うんですが、サラリーマンとして就いた造園設計・管理という仕事を辞めた理由の一部は、現場で仕事しないと意味がない、本当に大切な技術が得られないことに気づいたからなんです。

現場に出てももう何も見つからない、発展性が無いなんて思っているとしたら、それはとても危うい考えのように感じました。

多古光湿原


さてそんなこんなで本日の観察会はこのような資料をいただきました(拡大します)。

そうだ、以前まつぼっくり曼陀羅と福寿草というブログにてお会いした方と何と再会しました!
確かに少しこの湿原のことを話したけど、お名前もよく聞かないまま別れてしまったのでお会いできて嬉しかったです。

しかも余談ですが、先生方から昼飯にお誘いいただきラーメン食べている時、当地のフクジュソウを発見したのは谷城先生であることを知り二度吃驚。

一昨日お会いした横林さんも良くご存知で、納得です。

多古光湿原 エゾツリスゲ


上の資料にまず出てくるエゾツリスゲ(蝦夷吊菅)。

千葉県ではもうここにしか生き残っていない最重要保護生物です。
他に茨城の日立に残存していた群落は近年湿地ごとまるまるソーラー発電所になり消滅、関東地方の中でもこの湿原で残るのみとなったそうです。


同様に紹介いただいたマツバスゲ(松葉菅)。
似たものにハリガネスゲがあり、見分け方を教えてもらいましたが自分にはさっぱり解りませんでした。


カサスゲ(笠菅)とゴウソ(郷麻)。

カサスゲは以前どこかで書いたように菅笠や蓑の材料として、ゴウソは稲を束ねる材料としてよく使われたそうです。ソク(束)を作る、とかまるっとく、とか造園用語であるのはこの名残なんでしょうか。

多古光湿原 ムジナクグ
多古光湿原 ムジナクグ


この湿原にのみ生えるムジナクグ(貉)。

海水が混じる汽水域に生えるオオクグと、寒冷な高層湿原に生えるムジナスゲの出会い。

現代では出会うはずのない植物が大昔に出会って、しかも更に奇跡的に一つの植物となった凄い存在です。
ただ、花は咲かせても種を付けることはできない不安定な植物とも言えます。
種子をつける能力を獲得するのは、遠い遠い未来のお話かもしれません。

自分はこの植物を知り、壮大なストーリーに惹かれました。

谷城先生曰く、植物を観察する時に最も大事なのは、何故そこにあるのか考えることだそうです。


母種となるオオクグ(大)も少ないながらもみられます。

海水は見当たらないけども・・、数千年前はもともと海の入り江のような場所であり、そこから連綿と生き残っている姿です。県一般保護生物。

ムジナスゲについて、県内ではこの湿原でのみ自生していたそうですが、残念ながらここ数年個体が見つからないそうです。県最重要保護生物。


身近な植物のはずですが、どうも見知った形質とはまるで違うようすの二つ。

突然ジャンプする谷城先生、するとびっくり地面全体がグラグラぶよぶよと大揺れ。
そう、ここは浮島であり、不思議な植物の存在は地面の下にヒントがあるのではないか、ということです。

まるで生物の進化の秘密を溶かしたスープの上に立っているような感じ。

ミドリシジミ 幼虫 多古光湿原 


ハンノキ(榛)の葉にくるまれたミドリシジミの幼虫。
昆虫のスペシャリストの伊藤先生に確認してもらうと間違いないそうです。

昼はこの寝床で休み、夜に出てきて葉をもぐもぐ食べるそう。
ミドリシジミはハンノキと密接な生活環を作る大型の美しいシジミチョウの仲間で、県要保護生物となっています。


歴史として、面白い話もうかがいました。

このあたりはかつてナミキノフケと呼ばれていたそうです。
南並木という地名があり、フケとは合戦場という意味だそうです。

すぐ近くには志摩城址あり、南並木城、笹本城など・・、辺りは数多くの亡骸が眠る場所でもあるのかもしれません。




サワオグルマ(沢小車)とヒキノカサ(蛙の傘)。

途中、大量に繁茂する茅の活用についての話もあり、イドクボンガの茅葺屋根がもんもんと浮かんできてしまいました。

湿原には昔から高級材料だったカモノハシも自生しますし、刈り取ったあとの保管場所とか色々と課題はあるけど、たぶんあと何年後かにはやるんだなぁ、と漠然と思いました。

もういっぱいいっぱいなのでこの辺で終わります。

乾草沼 トンボ


湿原に来る前に乾草沼に立ち寄っています。

以前のブログ蝮と蜻蛉にて載せた水辺の写真展は再び6月頃開催されるそうなので是非。

冒頭にも書いたようにとにかく現場に足を運んでこの世界の素晴らしさと窮状を知っていただきたいです。


自分の周りで心当たりのある植物好きの方は数名いるので、次回の観察会は無理やり連れていきます笑。


観察会はどなたでも参加自由です。

本当にどうかよろしくお願いいたします。

多古光湿原
takohikari-marsh.sakura.ne.jp


帰路途中の風呂の前あたりでみられたイヌザクラ(犬桜)とウワミズザクラ(上溝桜)の花。
花の綺麗な時期は少し過ぎてしまったなぁ。


で、UMAカード2枚入りのラムネ菓子第二段をついに手に入れた先生。服がまるでキカイダー。

第一弾が10種類だったんですけど、なぜか一周して、また一周してを×3回ほどやってるので、モンゴリアンデスワームだけで10枚ぐらいあります。

嬉しそうで良かった!


ではまた!

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コメント: 2
  • #1

    加瀬勝三 (木曜日, 02 5月 2019 07:29)

    ありがとうございます�毎回とても勉強になります❗忘れないようにするのがミッションいんpossibleです�

  • #2

    たけだや (火曜日, 07 5月 2019 16:55)

    加瀬様

    掻くいう私も名前は全然覚えられません!
    植物の先生曰く、こういう植物は日に三つ覚えるぐらいがちょうど良いそうです、そもそも名前なんかどうでも良い、とも・・、確かに笑。