朝っぱらから葦毛湿原を訪れました。
初めての出会いのホンゴウソウ(本郷草)。
いわゆる菌従属栄養植物で、完全に光合成をやめた植物のひとつです。
小さいとは聞いていたけど、本当に小さくて目の前にありながら中々気づけず。
一昨年歩いた際、ご一緒しませんか?と声をかけられた方から教えていただいた場所でついに出会うことができました。
湿原ではミミカキグサの仲間がたくさん観られました。
上の写真がホザキノミミカキグサ(穂咲きの耳掻き草)、下はミミカキグサ(耳掻き草)の周りに沢山咲くムラサキミミカキグサ(紫耳掻き草)です。
この湿原の特筆すべき点の一つに、日本に自生するミミカキグサの仲間がすべて観察できるということが挙げられます。
上記以外に、ヒメミミカキグサ(姫耳掻き草)というものがあり、これは東海地方の限られた湿地と栃木県の一箇所のみで確認され、環境省より絶滅危惧ⅠB類(EN)の指定を受けています。
これがまた上に書いたホンゴウソウを更に上を行くミニマムさで、今回は確認することができませんでした。
一昨年に一時間ぐらい探して何とか撮影した開花したものを参考に載せます。
目の前にあるのに、焦点を変えないとまったく気づけず、ちょっと視線を外すと見失ってしまうぐらいの大きさです。
昨日のブログで少し触れたミズギク(水菊)とミカヅキグサ(三日月草)の花。
氷河期に分布を広げたものが低地に取り残された遺存植物とされています。
千葉の多古光湿原においても、エゾツリスゲが存在するように、こういった状況が往々にして低地の湿原で観られるのは何故なんでしょうか??
いずれも標高のある高層湿原では自然に分布しています。
周伊勢湾要素植物と呼ばれる二種、ミカワシンジュガヤ(三河真珠茅)とシラタマホシクサ(白玉星草)。
東海地方の植生の特殊さを示す存在です。
植生回復作業が今後どういった結果になるのが非常に興味深いです。
写真はそんな裸地に早速進出したトウカイコモウセンゴケ(東海小毛氈苔)。
トウカイコモウセンゴケはモウセンゴケとコモウセンゴケの種間雑種とされますが、ここではモウセンゴケは見られるのに、コモウセンゴケは見られないのが不思議。競争では負けてしまうのか。
他、ミミカキグサの仲間や珍しいところではカガシラ(蚊頭)なんかの進出も観られました。
湿原全体では、ミズギボウシ(水擬宝珠)やサギソウ(鷺草)、ノリウツギ(糊空木)の花がよく目立ちました。
機会があれば、また違った季節に訪れたいです。
夕方、天竜川の河口に近い遠州浜の草原および池へ。
トンボが豊富で、イトトンボ各種はもちろん写真中央ではギンヤンマのペアが居座り、ウチワヤンマなんかも観られました。
抽水気味に生えるサクラタデ(桜蓼)とシロバナサクラタデ(白花桜蓼)。
サクラタデ脇にはチョウトンボの姿も映ってますね。
沈水生のものとしてフサモ(房藻)の一種が目立ちました。
草地およびクロマツの疎林を歩きながら目に留まったもの。
カワラナデシコ(河原撫子)、ヒメヤブラン(姫藪蘭)、イシミカワ(石膠)。
津波対策で築かれた堤防上より何枚か。
台風が近づきつつあり、海は大荒れ。
河口方面は今後堤防工事が始まるようです。
堤防が築かれたことにより、遠州浜の植生がどのように変化するか見守りたいですね。
そういえば昼、お墓参りに行った際に先生がつかんだのはクマゼミ。
浜松ではクマゼミの鳴き声しか聴こえません!
最近、地元の千葉でも声を聴く機会が多くなってきました。
トリビアをひとつ。
ミンミンゼミの鳴き声を速く再生するとクマゼミの鳴き声と一致します!
ではまた~。
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