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希少な植物etc


来週早々に工事予定のお客様宅にて、追加案件の打ち合わせでした。

写真はお庭に咲いていた都忘れ(ミヤコワスレ)。

野草 サワオグルマ 千葉市 絶滅危惧
野草 サワオグルマ 千葉市 絶滅危惧


帰路中、都川河畔の休耕田に黄色い花が沢山みえたので車を止める。

近づいてみるとサワオグルマ(沢小車)の花でした。

千葉県では準絶滅危惧種にあたる一般保護生物であり、東京都で絶滅、他13の県で絶滅危惧種となっている野草です。

野草 イカリソウ 千葉市 絶滅危惧
野草 ジュウニヒトエ 千葉市 絶滅危惧


このまま帰るのも何だか気持ちが落ち着かなくなってしまい寄り道。

上からイカリソウ、キンラン、ジュウニヒトエ、ムラサキサギゴケです。
いずれもかつては当たり前でも、近年は見かけることが少なくなった野草です。

野草 ケブカツルカコソウ 千葉市 絶滅危惧


特筆すべき野草のひとつ、ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)。
標高のある草原に多く見られ、千葉県のような低地では稀です。

千葉県では絶滅危惧Ⅱ類にあたる要保護生物となっています。


河畔には多くの帰化植物の姿があります。

セイヨウアブラナにクレソン、オオアラセイトウなど。

なかでも、下のナガミヒナゲシは1970年代に東京都で定着が確認されて以来、全国へあっという間に広まりました。
生態系を乱す恐れがあり、栽培および販売は原則禁止、見かけたら種が出来る前に刈り取るよう自治体からお触れが出ているほどです。

でもでも、個人的にはそんなに神経質にならなくとも、あと50年もすれば野の姿に落ち着くか消えるかで、あまり問題無いと思ってます。

むしろ、道路の隙間のやせ地や荒れ地を中心に何故あんなにも爆発的な増殖が出来るのか、その仕組みがとても興味深いです。


そんなこんなで不思議な出会い、横林さんという方とお会いし、そのまま千葉市都市緑化植物園をご案内いただきました。


いきなり水草のコアな内容ですが、栽培されているものを紹介します。

こちらはササバモ(笹葉藻)です。

千葉県では一般保護生物となり、こちらとガシャモクの間に雑種のインバモが形成される場合があります。

ガシャモクについては自分も培養に挑戦しているので後述します。


水生のシダ植物の一つであるデンジソウ(田字草)。

市原といえば市原中央高校あたりに自生地がありますよね、なんてお話をいただきました。土宇辺りだとしたら、自分も以前に訪れたことがある場所です。

デンジソウは環境省より絶滅危惧Ⅱ類(VU)、千葉県では絶滅危惧ⅠB類にあたる重要保護生物、ほか46の道都府県で絶滅危惧種となっています。

かつては水田雑草として、駆除しきれないほど繁茂する植物でした。


一番上はオニバス(鬼蓮)の新芽、真ん中はジュンサイ(蓴菜)、一番下はヒツジグサ(未草)の新葉です。

オニバスは環境省で絶滅危惧Ⅱ類(VU)・千葉県では重要保護生物、ジュンサイも同じく重要保護生物、ヒツジグサにいたっては2017年カテゴリで最重要保護生物からEW、つまり野生絶滅となりました。

ヒツジグサは日本国内で唯一自生する睡蓮(スイレン)の仲間です。
県内では自生株から栽培が続けられた個体が残るものの、野生のものは絶えました。


色々とお話いただいた横林さん、水辺の植物同好会という会の会長をされ(!)、手賀沼にマシジミとガシャモクを復活させる会など、活動は多岐にわたる凄い方でした!

先ほども少し名前が出たガシャモクは環境省より絶滅危惧ⅠA類(CR)、千葉県でも同様の位置づけで最重要保護生物となっています。
このガシャモクも、かつては肥料にするほど大量に繁茂していた植物です。

レッドリストに書かれている文言が衝撃的で、「埋土種子から発芽するが、自生する個体がみられない」、とあります。

どういうことかというと、かつて花をつけて出来上がった種が眠った状態で地中に多数存在し、その種から年ごとに発芽はするけど、途中で枯死もしくは消滅してしまう、ということです。

これには水質や土壌の変化も大きいけど、やはり最も大きな要因は農薬の使用と雑食性外来魚およびアメリカザリガニ、ウシガエルなどの外来生物により新芽が全て食べられてしまうこと、だそうです。

国内の在来の水草類の多くが絶滅危惧種となってしまった原因の根幹はここにあります。

逆に、オオカナダモやオオフサモ、ホテイアオイやナガエツルノゲイトウなど、外来の水生植物が全国で増殖できる理由が知りたくなります。

ちなみに、本当にちなみにですけどマシジミの件は、タイワンシジミという外来種が非常に厄介な問題を引き起こしています、興味ある方は調べてみてください。


素晴らしい冊子をいただきました。こちらはガガブタについて。

ちなみにこれまた自分が育てているムジナモについての話になり、やはり栽培は難しい植物だそうで、色々と栽培方法についてお話ししました。

現在唯一、自生していた個体群から保護が続く埼玉の宝蔵寺沼では開花もみられるそうで、8月頃に観察しに行きませんか?という流れになりました。

これは嬉しい!今からとても楽しみです。


チラシ頂いたのでのっけます(拡大します)。

7/6(土)の「水草を育ててみよう」ではさりげなく横林さんが講師。

ご興味のある方是非。

また、高齢化により人手が足りず、水草の植え替え作業が困難となっているそう。
このままだと栽培している植物が衰退してしまうので、手伝っていただける方を募集したいそうです。

我こそは!という方こちらも是非。


園内では千葉県に自生するもので、特に希少な野草も観察できます。

こちらはヤマブキソウ(山吹草)、県最重要保護生物です。


特に指定はないけど、あたりではみられないキケマン(黄華鬘)。

館山など、県南部の海岸付近で多くみられます。

 

不思議な形の花を咲かせるオオバウマノスズクサ(大葉馬の鈴草)。


ムサシアブミ(武蔵鐙)、個体数や生息地の減少が極めて著しい、として最重要保護生物になっています。


花の時期ではないけど、取り上げたいもの。

上はフシグロセンノウ(節黒仙翁)、千葉市では見かけるけど、自生していると言われる市原市内ではまだ出会ったことがありません。初夏に鮮やかなオレンジ色の花を咲かせるナデシコ科の野草、県要保護生物です。

二つ目は種子を作り始めたセリバオウレン(芹葉黄連)、コセリバオウレンが房総丘陵で自生しているのは知っているけどこちらは知らず、県要保護生物。

三つめはラショウモンカズラ(羅生門葛)、2017年に要保護生物から最重要保護生物となった危急種、こんな植物が千葉県に自生していることすら知りませんでした。

最後はセツブンソウ(節分草)です。環境省で準絶滅危惧に指定されていますが、千葉県では学術的に自生はしていないことになっています、ただし1970年代に民間ながらも房総丘陵で数例の観察報告があります。今はダムに沈んでしまった場所なんですが・・。付近は山深く、中々立ち入れない場所なので、どこかで生き残ってくれていることを願うばかりです。


こちら、実家のベランダにて育てているガシャモクです。

新葉が伸びてきましたが、今年は花を咲かせるでしょうか。
結実は難しくとも、一度は花を観てみたいです。

ではまた。