明るいうち時分、久しぶりにベランダの池を覗きました。
写真は順調に成長しているムジナモ(貉藻)、三年目。
日本から野生個体が絶滅してしまった悲しい植物です。
ただし、環境省カテゴリでは絶滅危惧ⅠA類(CR)のままです。
千葉県でも北総を中心に多数分布していたようですが現在は無論みられません。
外来種の雑食性魚類およびアメリカザリガニによる捕食圧、生活排水の流入による富栄養化および農薬の使用などによりあっという間に姿を消してしまいました。
ムジナモは食虫植物のため、貧栄養の水=透明度が非常に高い水(しかも止水)が必須。
日本中探しても、もうそんな所は少ないのかなぁと思います。
透明度の高い水は、人間にとっては必ずしも体に良いものではないというのも何とも皮肉です。
ちなみに、花をつけるのは栽培を始めてから10年かかるという話があり、その花も開花に至るのは稀、しかも開花するのは昼の1、2時間ほど、なので界隈ではちょっとしたニュースになります。
写真中央はイヌタヌキモ(犬狸藻)。
昨年はかなり成長し、ムジナモを圧迫しまくったため、今年は殖芽の段階で移動しました。
ちなみに、イヌタヌキモも食虫植物であり、環境省で準絶滅危惧種(NT)、千葉県では絶滅危惧ⅠB類にあたる重要保護生物となっています。
丘陵地ほどではないにせよ、人の手が及ばない山間奥の浅い沼で観察することが出来ます。
以前に、どのような機械を使って水質調整しているんですか?と聞かれたことがあるんですが御覧のとおり、なんだよこれ・・、という感じの姿です。
放任もいいとこですが、乾燥させた昨年の枯れ葉と稲わらを投入と、雨が当たらないのでジョウロで水を激めに撒くことだけは必ず。
あとは他の植物や貝やエビ、メダカ、最も大事な微生物が何とかしてくれます。
囲いはイモリさん脱走防止用です(昨年一匹天に召されてしまったので・・)。
よく伸びてきたのはノハナショウブ(野花菖蒲)とサワギキョウ(沢桔梗)。
観察していると、抽水植物の成長に併せた水質の変化はとても興味深くみえます。
放任なので春先は水質が不安定で濁りまくるのですが、そんな状態から一気に変わります。
さて、本日は植木の積み込みと明日の準備のため事務所でこつこつ作業していました。
息抜きに、ツクバキンモンソウやフデリンドウがみられたあたりを歩くと今度はホタルカズラ(蛍葛)と出会ってしまった・・驚。
道路沿いの草刈りの効果なのか、気付けていなかったのか。
ただ、まだ多くは薮薮状態で日が当たらないからかフデリンドウなんかは開花に至らなそう。
より整備すればもっと眠っている沢山の植物が復活するかもしれません。
今日は寄り道して色々な花の写真撮ってきました。
こちらは植木積み込みの帰りに観に行ったクマガイソウ(熊谷草)。
環境省より絶滅危惧Ⅱ類(VU)、千葉県でも絶滅危惧Ⅱ類相当の重要保護生物に指定されています。
花は全て真北を向いて咲いているので異様といえば異様です。
繊細な環境を好む植物であり、以前存在した千葉県某所の群落地では保護地に指定されたため間伐等の人の手が入れられなくなり、ほとんどの個体が消えてしまったという笑えない有名な話があります。
わずかな日照の差はもちろん、それに伴う地中の菌類の活動に大きな関係がありそうです。
個人的に、丘陵地を歩くと割合出会うのですが、花を咲かせるような立派なものはまず観られません。
葉っぱ出すのが精いっぱいという感じの個体ばかりです。
他目に留まったもの、チゴユリ(稚児百合)が咲き始めていました。
さて、どこに隠れているでしょうか??
事務所から割と近い姉崎神社社叢にて、オドリコソウ(踊子草)が咲き始めました。
古くから禁伐林だった鎮守の森などに多くみられます。
付近の古墳林縁にもあり、県内全域に点々と分布してるようです。
参考に、事務所にて撮ったヒメオドリコソウ(姫踊子草)。
こちらは明治時代にヨーロッパからやってきて、今やありとあらゆるところでみられる帰化植物です。
この森の林床は今が一番美しいと感じます。
写真はタニギキョウ(谷桔梗)の群生。
こちらはミヤマハコベ(深山繁縷)。
どちらも、市原の南部丘陵地で良くみます、が、このような平地でみられるのは稀です。
かつてはどのような植生分布があったかを伝えてくれる景色のように思います。
ほか、ホウチャクソウ(宝鐸草)やヤブニンジン(薮人参)が多くみられました。
ゴミもあり景観的にはイマイチですが、いくつも湧水がある様子。
まだまだこの森は大丈夫!
何故か自分が励まされるような気持ちになります。
ではまた~。
コメントをお書きください