本日は朝から結構な雨。予定させていただいたお手入れは延期となってしまいました。
なので急遽打ち合わせと、直近に控える植栽工事に使う樹木を選びに行ってきました。
ソロにモミジにアオダモ・・自分、植木畑大好きなんです。
いようと思えば一日過ごせる気がします。。
良い樹木も選び終わり大満足の中、自生の個体を探しに探しているオキナグサを栽培されている施設へお邪魔してきました。
市原市佐是、昭和20年代に少女時代を過ごした今井節子さんのお話。
春、苗代に種をおろします。残った籾はやんごめ(焼米)にして食べました。
麦畑ではヒバリが鳴いています。薮ではウグイスの声も聞こえます。
学校の帰り道にたけすっかっぽ(イタドリ)をかじります。酸っぱい味です。
茅場にワラビを取りに行きます。キンラン、ホタルカズラ、ニオイタチツボスミレなどが咲いていました。
遠足で牛久の近くまで来ました。高台の原っぱにはオキナグサ、オカオグルマ、アズマギクなどが生えていました。
(野の花・今昔(うらべ書房)監修千葉県立中央博物館 より引用)
今では耳慣れない植物の名前や茅場などの言葉が出てきます。
長年にわたる人為的な干渉によって成立していた「自然」がことごとく消えていったのは、ごくごく最近の出来事であることを感じていただければ幸いです。
オキナグサは明るい草原に生息する植物です。
今の千葉に草むらはあっても草原を見ることは滅多にありません。
見た目には同じでも大きな違いがそこにはあります。
現在でも標高のある高原に成立する草原にてその姿を観ることが出来ます。
しかし、人為的な干渉によって成立していた草原は全国的にも減少著しく、環境省では絶滅危惧Ⅱ類(VU)の指定をしており、かつては各所で普通に見られた千葉県においても1985年を最後に確認されておらず現在確実な自生地は残っていないとされています。
最重要保護生物の指定を受けていますが、今後30年以内に自生が確認されない場合は絶滅となります。
一方で絶滅と一度は判断されながらも、生育が再び確認されるものもあります。
こちらは一見ギンランに似ますがクゲヌマランという植物です。
1999年段階では、かつて一宮海岸で採取されたのを最後に千葉県では絶滅とされていましたが、近年になり発見が相次ぎ各地で順調に個体数が増加しているという珍しい例です。
この写真を撮った場所はもともと海だった所です。
なんじゃそら?と思うかもしれませんが、埋め立て後に造られた人工海浜および海浜性の森というわけです。
クゲヌマランは神奈川の鵠沼海岸で発見されたのでこの名が付いた通り、海岸に生えるクロマツやタブ林の林床でのみ生育します。思いっきり潮風を浴びる環境です。
この森は人工的に造られてから大分時間が経ちました。タブノキをはじめヤブツバキ、トベラ、ヤブニッケイなど、海岸に多くみられる樹木が実生も含めて良好に生育しています。
ランは最も進化した植物と言われ、光合成のほかに十分に発達した森林内における地中の菌類と共生して栄養を得るものがほとんどです。
クゲヌマランの生育状況の好転は、人の手によって造られた海岸林の環境がようやく充実してきたという一面も持っているのではないでしょうか。
とはいっても環境省より絶滅危惧Ⅱ類(VU)、千葉県においても要保護生物の指定を受けています。そっと成長を見守りたいですね。
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